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欧州連合の機構欧州連合の機構(おうしゅうれんごうのきこう)では、欧州連合(EU)の基本条約により設置されたEUの統治機構を概説する。 ローマ条約以降、機関相互の関係は変化してきてはいるが、構造自体はほとんど変わっていない。さらに、基本条約に明記されているもの以外にも多くの機関があり、これらも解釈や適用などから条約に根拠を有している。
[編集] 条約上の機関EUという機構において特に重要な機関は5つ、条約に出る順に挙げると以下のものがある。 [編集] 執行欧州委員会はさまざまな行政を執行する機関である。現在は全27加盟国から1人ずつの委員が選ばれており、基本条約の遵守を確保し(このことから、「基本条約の守護者」と位置づけられている)、すべての法案の起草やEU法を独占的に調整する。またいくつかの外局やEUの日常業務を統括している。委員長は2004年以降、ジョゼ・マヌエル・バローゾが務めており、その選出は欧州理事会が行い、その後欧州議会がこれを承認、ほかの委員候補についても欧州理事会と承認を受けた欧州委員会委員長候補が共同で指名し、欧州議会の承認を受けることになっている。 [編集] 立法欧州連合理事会(閣僚理事会、または単に理事会ともいう)はEUの立法機関の1つである。理事会はEU法の対象とする政策分野に合わせて、加盟国の閣僚によって構成される。つまり、農業に関する法令については各国の農相による理事会で扱われる。よって理事会では主に加盟国の国益が反映されることになる。議長は加盟国が輪番制で6か月ごとに務め、議論の継続性を確保するために当期の議長と前期・次期の議長が協力する。欧州連合理事会はEUのもとに置かれる、あるいは基本条約上の機関とはされない欧州理事会や、EUとは別組織の欧州評議会とは異なるものである。 欧州議会もEUの立法機関の1つである。785人の議員は直接公選で選出された人物であり、任期は5年である。議員は出身国別ではなく政党・会派別に分かれ、2007年以降はハンス=ゲルト・ペテリングが議長を務めている。 [編集] 司法EUの司法を担うのは主に欧州共同体司法裁判所(欧州司法裁判所)であり、EUにおける最高裁判所に相当し、加盟国内の最高裁判所よりも高く位置づけられている。欧州司法裁判所は加盟国から1人ずつ判事が任命され、長官は互選で選出される。また8人の法務官がEU法と基本条約の統一した解釈を示している。2003年からはヴァシリオス・スクリスが長官を務めている。なお欧州人権裁判所と混同されることがあるが、同裁判所はEUの機関ではない。 欧州司法裁判所の下には下級裁判所として第一審裁判所が設置されており、欧州司法裁判所と作業を分担している。第一審裁判所は長官を含め27人からなり、1998年以降はボー・ヴェステルドルフが長官を務めている。このほか8人が判事を務める欧州連合公務員裁判所があり、EU職員の規律に関する事案を扱う。長官はポール・J・マホニーが務めている。 EUの財政を監査する機関として、欧州司法裁判所とは別に欧州会計監査院が設置されており、フーベルト・ヴェーバーが委員長を務めている。 [編集] 主要な機関[編集] 欧州理事会先述した機関以外にEUの重要な機関として欧州理事会があり、EU首脳会議などとも言われる。基本条約上は特段の権限が与えられておらず、また正式な機関ともみなされていないが、欧州理事会はEUの最高意思決定機関とされ、EUの政策決定を主導する役割を持つ。欧州理事会はEU加盟国の首脳と欧州委員会委員長が出席し、1年に4回ブリュッセル、あるいは議長国内において会合を開く。議長は当期の欧州連合理事会の議長国の首脳が務め、2008年前半はヤネス・ヤンシャが務める。 [編集] 金融機関欧州中央銀行はユーロ圏の金融政策を担い、価格安定の確保を義務とする重要な金融機関である。欧州中央銀行の独立性は他の機関からの影響を受けないためのものであるが、欧州中央銀行の政策理事会にはユーロ圏の中央銀行の総裁が含まれる。また欧州中央銀行はEU全加盟国の中央銀行を対象とする欧州中央銀行制度の中心的役割を持つ。総裁は欧州理事会が指名し、2003年よりジャン=クロード・トリシェが務めている。 欧州投資銀行はEUの融資機関であり、EUの政策対象に関するプロジェクトに資本を提供する。総務会はEU加盟国の財務相27名で構成される。理事会議長および経営委員会総裁はフィリップ・マイシュタットが務めている。 [編集] 諮問機関EUには以下の2つの諮問機関がある。
[編集] その他の機関欧州オンブズマンは任期4年で欧州議会が選出し、市民のEU機関に対する苦情を受け付ける。2003年以降、ニキフォロス・ディアマンドロスがオンブズマンとなっている。 欧州データ保護監視官(EDPS)はデータ処理に関してEU諸機関による市民のプライバシー権の尊重を確保する役職で、2004年からはペーター・フスティンクスがこの役職にある。 内局として次の3つがある。
欧州不正対策局(OLAF)は1999年に設置され、EU諸機関における不正を捜査し、欧州委員会といった機関からは独立して活動を行っているが、欧州委員会の総合サービス部門の1つの局の位置づけにある。 EUにはこのほかさまざまな官庁が設置され、通常は基本条約に対する第2次法で規定されるが、欧州刑事警察機構(Europol)のように基本条約に規定が設けられるものもある。このような官庁は分野ごとに設置され、食品の安全に関しては欧州食品安全機関が、防衛に関する物品調達や開発に関しては欧州防衛庁が置かれている。これらの官庁はEU域内に分散されている。 [編集] 機関の所在地詳細は欧州連合の機関の所在地を参照 EUには正式な首都と言うものが存在せず、その機関は域内各地に分散されている。その中でも多くの機関が集まるのはブリュッセルではあるが、これをもってEUの事実上の首都とすることがある。いくつかの機関に関しては基本条約において所在地が定められている[1]。 ブリュッセルにはおよそ23,000人の職員が勤務する欧州委員会と欧州連合理事会がおかれている。欧州議会も第2の拠点をブリュッセルに置いており、委員会や一部の総会が開かれている。さらにEUの機関ではないが北大西洋条約機構(NATO)や西欧同盟(WEU)の本部がおかれているほか、欧州連合理事会の会合のほとんどがブリュッセルで開かれており、地域委員会、経済社会委員会や欧州防衛庁、欧州航空航法安全機構(EUROCONTROL)といったEUの行政機関もおかれている。このように機関が集中していることから、駐EU代表部はほとんどがブリュッセルに置かれ、首都のように考えられている。 ブリュッセルと欧州連合も参照 ルクセンブルクには、欧州司法裁判所や第一審裁判所などすべてのEUの法廷や欧州会計監査院が置かれていることから、EUの事実上の司法の首都である。また欧州投資銀行や欧州議会事務局が置かれている。なおルクセンブルクには欧州議会の本会議場はあるものの実際に本会議が開かれたことはない。 ストラスブールは欧州議会の公式の所在地であり、毎年12回の定例本会議が開かれる。ストラスブールが正式な欧州議会の所在地で最も象徴的であることから、欧州議会は別名「ストラスブール議会」と言われることもある。しかし、拠点が2つあるためにかかる費用などからストラスブールから撤退する根強い意見がある一方で、ストラスブールのあるフランスがこれに反発している。またストラスブールは欧州人権裁判所などの欧州評議会の機関がすべておかれている。 行政庁などは加盟国内に分散されており、フランクフルトはユーロ圏最大の金融センターとなっており、欧州中央銀行が置かれている。またハーグには欧州刑事警察機構(Europol)と欧州司法機構(Eurojust)の本部がある。2004年のEU拡大以降、さらに平等な配置を行うために新規加盟国にも行政庁が置かれることになった。ところがこれについてはいくつかの問題が生じており、例えば欧州域外国境管理協力局(Frontex)は国境管理に関して新設されたものだが、機関が置かれるワルシャワの所得や生活水準が低いために居住を敬遠し有能な人材が集まらないという問題が起こった。さらにガリレオ測位システムの拠点をプラハに置く計画も、システムを設置するには治安が十分に安全ではないという反対にあった。 [編集] 機構の改革欧州憲法条約では機構制度に関する改革が実施されるはずだった。欧州理事会は正式にEUの機関となり、欧州会計監査院は廃止、欧州連合理事会は名称を「閣僚理事会」に、欧州共同体司法裁判所も「欧州連合司法裁判所」に改称されることになっていた。また欧州憲法条約ではEU諸機関の枠組みの目的について、EUの価値観を広め、それによってEU市民と加盟国に利益を享受させ、EUの政策と活動の一貫性、有効性、継続性を確保するとうたわれていた。 ところが2005年にフランスとオランダでの国民投票の結果、欧州憲法条約の批准が拒否され同条約は発行が断念された。しかしEUの拡大とともに機構は肥大化し、効率性が低下するなどの弊害が見られるようになり、機構改革はなおも求められていた。そこで2007年6月に欧州憲法条約の機構改革に関する規定を継承する新たな基本条約の作成が合意され、同年12月にリスボン条約として調印された。リスボン条約は2009年1月の発効を目指して、加盟国内での批准手続きが進められている。 [編集] 関連項目[編集] 脚注[編集] 外部リンク
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