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ソナーソナー(Sonar、ソーナー、ASDIC、アスディックともいう)とは、音波によって水中の物体の探知をする機械である。一般には水中物体の位置を測定し画像化する装置を指し、軍艦や漁船等が装備している。英語の「Sound navigation and ranging」(音波による航行と測距)から名前が付けられたアクロニムである。海上自衛隊では「ソーナー」と伸ばして発音する。
[編集] 原理水中における伝搬特性を利用して、物体の位置を測定する装置がソナーである。海水中においては、光や電波は急速に減衰してしまうために、観測・測定用の波動として有効ではない。海は濁っていることから、光が海水中で届く距離はせいぜい50mである。また海水は塩などの電解質が解けた電解液であるため、電波は入射すると海水に流れる電流でエネルギーが消費され、急速に減衰する。しかし音波は水中において、光や電波に比べきわめて減衰が小さく、遠くまで伝搬する。例えば周波数10kHzの音波であれば、ゆうに10km以上離れた場所にも伝搬する。しかし、同様の原理をもつレーダーと異なり、水を伝達媒質としているため、実用には不安定要素が大きい。存在しないゴースト(虚映)を探知したり、目視距離内にある潜水艦を探知できない場合や、突然の失探がある。 ソナーによる距離の測定は、ある方向に出した音波が、なんらかの物体に当たり、反射されてT秒後に観測された(エコーが返ってきた)とすれば、音波の往復を考慮して、
として求められる。例えば音波を360度の全周にわたって放射しエコーを記録すれば、水中音波を反射する全物体を探知する事ができる。この原理はレーダーと同じである。 [編集] 水中音波の速度音波は、空気中よりも水中のほうが伝播速度が速い。空中における音速はおよそ340m/sであるが、水中においてはおよそ1,500m/sであり、4倍以上早く伝搬する。これは遠距離における物体を探知する場合には極めて重要である。例えば距離1kmにある物体を探知しようとする場合、往復2kmを音波が伝搬する時間は空中では約5.9秒であるが、水中では約1.3秒である。1秒でも早く目標を発見したい軍事用途では、この差は重要となる。 水中での音波の速度は水温、圧力、塩分濃度などで変化する。深度が深くなれば水温が下がって遅くなる。さらに深くなれば、水温はそれほど下がらないが圧力が増すので早くなる。海中では多くの場合、深度1,000m付近が最も水中音波の速度が遅くなり1,470m/s程度になる。音波が1,000m付近を水平方向に進む時、多少上下斜め方向に進む音波も緩やかな屈折を起こして元の1,000m付近へ曲げ戻されることになる。この効果によって、水中の音波は1,000m付近で水平方向への伝播が著しく良好となり、驚くほど遠くまで音波が届く。これはグレーデッド・光ファイバーの効果と同じである。[1] [編集] 歴史ソナーは20世紀初頭から開発が進められた。それはタイタニック号の沈没を契機に、夜間や濃霧において氷山を発見し、すみやかに回避するためであった。氷山の探知に技術的には成功したが、完全に実用となったのは第二次世界大戦時の対潜兵器として、水中にひそむドイツのUボートの探知を目的としてである。 [編集] 種類ソナーは大別すると、アクティブ(Active:自発)タイプとパッシブ(Passive:受動)タイプに分ける事ができる。一般的なソナーはほとんどがアクティブタイプである「アクティブ・ソナー」であり、パッシブタイプである「パッシブ・ソナー」は隠密行動が必要な潜水艦において利用されることがほとんどである。 アクティブ・ソナーは、下方を見るための「エコー・サウンダー」(Echo sounder)と、横を見るための「サイド・スキャン・ソナー」(Side scan sonar)、前方もしくは周囲を見るための「オブスタクル・アヴォイダンス・ソナー」(Obstacle avoidance sonar:障害物回避ソナー)などに分類できる。映画などに登場する初期のソナーは「ピン...ピン...」と音波を発し、はね帰ってきた音波を円い画面上に光点として表示することで敵が映るが、これは現代の分類では障害物回避ソナーに分類できる。当時はその障害物を破壊して“回避”していたとも言える。 パッシブ・ソナーは、海底ケーブル式の「SOSUS」、曳航式の「TASS」、投下式の「ソノブイ」などに分類できる。現代の潜水艦はパッシブ・ソナーだけでなくアクティブ・ソナーも搭載しているが、ほとんどパッシブ・ソナーしか利用しない。アクティブ・ソナーの使用は自分の位置を相手に知らせる事につながるので、緊急時の最終手段(差し違えてでも相手を沈める覚悟の時)でしか使用しない。ソナーは日本語では水中音波探知機または水中測的装置とも呼ばれ、海上自衛隊において操作員は水測員と呼ばれる。 [編集] アクティブ・ソナー[編集] エコーサウンダー音波を直下方向に発射するソナーで、魚群探知機や水中用高度計などがある。また体内を見るために使う超音波検査器も、広い意味ではこれに分類される。基本的に音波の発射方向に物体があるか無いかを判断するだけで、もっとも単純な部類に入るが、最近は音波方向を百以上に制御(フェイズドアレイレーダーと同じ原理)し、直下を細かく探査する事ができる「マルチビーム・エコーサウンダー」も普及している。また極端な低周波を大音量で用い、海底下に音を貫通させて海底地層の探査をする「サブボトム・プロファイラー」もある。鯨の座礁事件が頻発した時に低周波アクティブ・ソナー(LFAS)が問題になった事があったが、これが原因であった可能性がある。 [編集] サイドスキャン・ソナー船舶の側面に搭載し、船舶の真横から斜下方向へ音波を発射し、その方向の探査をする。このままではサイドスキャン・ソナーは横の目標しか探知できないので、船舶が移動する事が必須である。船舶が直線的に移動する事で、ちょうど上から目標を見下ろすような画像として、平面的に目標およびその周辺をスキャンする。多くの場合で左右にそれぞれ一つずつ搭載し、海底表面の状態をスキャンするのに用いる。 このタイプのソナーには合成開口ソナーも存在し、機雷の発見に効果的である事が判ってきている。 [編集] オブスタクル・アヴォイダンス・ソナーエコーサウンダーを前方に固定するか、回転機構の付いた台座に取り付けて回転できるようにしたもので、基本的にエコーサウンダーと同じである。ソナーの原点はこれである。海上を高速移動し、障害物の早期発見が必要である水中翼船には標準的に取り付けられている。しかし鯨などの海洋生物や流木との接触が絶えないのは、海面付近は波などの影響で安定してエコーが返って来ないためである。この形式でもっとも有益で普及しているのは、車のバックをサポートするバック・ソナーであろう。 [編集] パッシブ・ソナー主に軍事用途で相手の音波を受信する装置。敵を含むあらゆる水中・水上の艦船の発する水中音を拾うことで、それらの位置を特定する。戦闘用水上艦艇もそうだが、特に潜水艦はアクティブ・ソナーを使用すると自身の隠密性を損なうため、パッシブ・ソナーをより重視する。 運用方法としては、海底ケーブル式のSOSUS、音響測定艦曳航式のSUR-TASS、潜水艦曳航式のS-TASS、駆逐艦曳航式のTAC-TASS、空中投下式のソノブイなどがある。 潜水艦ではパッシブ・ソナーは、減速機やスクリューなどの騒音源から離れた場所で、進行方向でもある艦首付近に設置される。艦首部分にアクティブ・ソナーと共用で送受波器多数を球状に配置し、個々の受波器が受ける音波の感度差から、音源の方位を三次元的に計測することができるようになった。 また、航走中に艦尾付近に設置したウインチから長いワイヤーに取り付けられた多数の受波器により構成されるTASS(Towed Array Sonar System、曳航ソナーアレイシステム)を後方に繰り出して、自らによる騒音の影響の少ない離れた場所で音を捉えたり、艦体の受波器との間で長い距離(基線長)を稼ぎ、水中音波の到達時間差による測距の精度を高めたりすることができる。 特徴としては
[編集] 軍事用ソナー軍事用途としては、主として潜水艦を探知するための物があり。水上艦艇には船底に設置するハル・ソナー、艦首に設置するバウ・ソナー、艦尾から水中に下ろして曳航する可変深度ソナーなどがあり、対潜ヘリコプターにはディッピング・ソナーがある。P-3C哨戒機ではアクティブ発信可能なソノブイダイキャスも用いられる。潜水艦においては、パッシブ・ソナーでは得られない高い精度の位置情報や相手の大きさなどの情報を獲得するために、極めて短時間かつ限定的に用いられる。 使用される音波は通常数kHz~数十kHzであるが、周波数が高くなるほど測定精度(分解能)が良くなるが、海水によるエネルギーの減衰が大きくなり遠距離まで届かない。 一方、周波数が低いほど減衰が少なく遠距離まで届くが、測定精度が低下するという特徴をもち、通常複数の周波数を状況に応じて使い分けている。 特徴としては
高周波低周波の数字的定義はあいまいであるが、アクティブ・ソナーにおける低周波は、高出力(約100KW以上)の3KHz以下が低周波とされる。この周波数以下であると、CZ(Convergence Zone、収束帯)域(約33海里)付近の遠距離探知が可能となり、敵潜水艦の行動を大きく制限することができるといわれる。 [編集] アメリカ海軍ソナー戦用語
[編集] その他イルカやクジラなどの海生生物がソナーと同じ仕組みを使用している。 [編集] 関連項目[編集] 脚注
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