スケールモデル
スケールモデルとは、実在する、または実在した「何か」を、スケール(縮尺)に基づいてつくられた模型のことを指す。
スケール(Scale)とは英語で縮尺、比率を指す用語である。実在するものを忠実に再現する模型をさしてスケールモデルと呼ぶことが多い。研究・展示などの学術的目的で作られた模型にも用いられる。この用語には「実物を忠実に縮小した」という意味が込められているので、より正確な模型という印象を持たせるために用いられることが多い。狭義には実在のものがあるプラモデルの呼称として用いられる(一部例外あり)。
[編集] 縮尺率について
縮尺率はその目的に応じて決められる。NASAや航空機メーカーでは新型機のモックアップを作り風洞実験を行ない翼断面の性能検査や荷重、応力の検討を行なうがその際には風洞に入る縮尺率で作られる。また、スペースシャトルの開発では降下実験のために1/2スケールの模型(モックアップ)が作られている。性能検査のためには実物大模型が用いられることも多い。また建築模型などは1/100など計算が容易な縮尺で作られることが多い。これは目的がクライアントへの説明となっているためである。
[編集] 模型や玩具のスケール
プラモデルやミニカーで言うスケールは、ジャンルによってまちまちであるが国際スケールと呼ばれる規格がある。 主なスケールとそのジャンルは概ね以下の通り。 (建築物等に事実上統一スケールが存在しないものに関しては割愛する)
- 1/6->主にバイク
- 1/8->自動車、バイク、フィギュア
- 1/9->バイク、稀にヒストリカルフィギュア(胸像)バイク模型で有名なプロター社のミスにより発生した
- 1/10->自動車主にRCカー
- 1/12->自動車バイク 稀に陸戦兵器(ミリタリーモデル)
- 1/15->戦車など イマイ及びそれを引き継いだバンダイ製品
- 1/16->自動車 稀に陸戦兵器、兵士フィギュア
- 1/18->主に自動車
- 1/20->自動車 稀に陸戦兵器 1960年代末からバンダイなど複数のメーカーより展開、後に田宮模型がF1などの模型にモーター走行させるためにシリーズ化
- 1/24->主に自動車 航空機 稀に陸戦兵器
- 1/25->自動車(米国規格)、戦車(タミヤ製品)
- 1/30(1/30.5)->鉄道模型35mmゲージ、1番ゲージ(日本型・イギリス型)
- 1/32->自動車、陸戦兵器、航空機、メタルフィギュア(54mmスケール)鉄道模型1番ゲージ(軌間45mm)
- 1/35->(海外でも採用された1970年代後半以降、事実上の国際スケール)陸戦兵器(田宮模型のミリタリーミニチュアシリーズ、通称MM規格) 希に小型艦艇
- 1/43(1/43.5)->鉄道(Oゲージ日本型蒸気機関車・イギリス型) ミニカー
- 1/45->鉄道(Oゲージ日本型・欧州型・OJゲージ)
- 1/48->(国際スケール)航空機 陸戦兵器(バンダイスケール、田宮模型のMMC(ミリタリーミニチュアコレクション))米国型Oゲージの鉄道模型
- 1/50->鉄道のプラモデル 建設機械 航空機ソリッドモデルの国際標準スケール 建築模型
- 1/64->鉄道模型(Sゲージ)軌間22.5mm 自動車
- 1/72->(国際スケール)航空機 陸戦兵器 希に小型艦船(潜行艇含む)
- 1/76->鉄道(OOゲージ)軌間16.5mm 陸戦兵器
- 1/80->鉄道(16番ゲージ日本型)軌間16.5mm (13mmゲージ)軌間13mm
- 1/87->鉄道(HOゲージ)軌間16.5mm ミニカー Roco等の陸戦兵器
- 1/100->航空機 建築模型
- 1/120->鉄道(TTゲージ)軌間12mm (TT-9ゲージ)軌間9mm
- 1/144->航空機 陸戦兵器 希に小型艦船(潜行艇含む)
- 1/148->鉄道(Nゲージイギリス型)軌間9mm
- 1/150->鉄道(Nゲージ日本型)軌間9mm 希に小型艦船(潜行艇含む) 航空機
- 1/160->鉄道(Nゲージ欧米型)軌間9mm
- 1/200->艦船・旅客機 稀に大型軍用機・宇宙船(スペースシャトル)(ZJゲージ一部の日本型)
- 1/220->鉄道(Zゲージ欧米型・ZJゲージ日本型)軌間6.5mm
- 1/250->艦船
- 1/300->鉄道模型ZZトレイン軌間4.8mm(量産されている乾電池で動く世界最小の鉄道模型)
- 1/350->艦船・航空機
- 1/450->艦船 鉄道模型Tゲージ軌間3mm(試作段階)
- 1/600->艦船
- 1/700->(海外でも採用された1990年代以降、事実上の国際スケール)艦船・航空機(ウォーターラインシリーズ)
- 1/720->艦船
- 1/800->艦船・航空機
- 1/1000、1/1250、1/1200、1/2400->艦船
[編集] スケールの基準
基準は1フィート(0.3048m)をどれだけの長さにするか、である。プラモデルの国際スケールは1フィートを1/4インチとしている1/48と1ヤード(0.9144 m)を1/2インチとしている1/72を基本としている。その半分や倍のスケールは国際スケール準拠のスケールである。分母はヤード、フィートの進法によって決められている(1ヤード=3フィート=36インチ)。1フィートを7mmと換算する1/43(1/43.5)スケールやその半分である1/87スケールは鉄道模型的な基準のスケールと言える(鉄道模型のゲージの項参照)。メートル法の文化圏では1/10、1/50、1/100などいずれも計算が容易なスケールが用いられることもある。
[編集] 日本で多いスケール
- 1/35
- 田宮模型(タミヤ)の1/35戦車シリーズ及びMMシリーズと呼ばれる独自規格から発展した標準規格。戦車にモーターライズ機能を持たせ縮尺を出したら1/35相当(田宮模型の仕事等の田宮模型関連書籍によると正確には1/32だったという証言もある。)になったことから発生。もっとも開始当初の1/35戦車シリーズには、上記の理由から1/32相当のモデルも1/35としてラインナップされていた。欧米では1/32が標準であったが、MMシリーズの大規模な展開により国際的にも認知され、1970年代後半からイタリアのメーカーも1/35で参入し、以後事実上の国際標準スケールとなった。そのため戦車模型の世界はキットに限らず改造パーツ、アクセサリ、製作技法や方法論に至るまで1/35スケール限定という状態が長年続いていたが、近年は海洋堂のWTM(1/144)やタミヤの1/48MMシリーズの躍進により状況が変化しつつある。キャラクター模型としては1980年代半ばにタカラがミリタリー色の強い作品『装甲騎兵ボトムズ』で採用しているが、近年バンダイからリリースされたガンプラのひとつ「U.C.ハードグラフ」は、そのスケールモデル的な造形とともに注目を集めている。
- 1/60、1/100、1/144
- 1/100は田宮模型が初期に航空機モデル用に採用したスケールで、木製航空機ソリッドモデルの国際標準スケールである1/50の半分である。1/144はエルエス、クラウン、三共、オオタキなどのミニスケール航空機キットの共通スケールであった。後に1/60、1/100、1/144はバンダイがガンプラのスケールとして取り入れた。しかし作品によってはキャラクターのサイズに差がありすぎて、スケール表記はあっても事実上の箱スケールとなり、並べることができない場合もあった。また食玩のスケール物では海洋堂のWTMなど1/144の採用が多い。
- 1/70、1/75、1/80、1/150
- 1/150は三共模型のピーナッツシリーズのスケール。いわゆる箱スケールであり、パッケージのサイズに合わせて設定された後付けのスケール。単価が安く作れるサイズなので、オオタキやエルエスなど初期のプラモデルメーカーが数社、航空機模型を中心に採用していた。オイルショック以降、エルエスは古い1/150キットを1/144表記に変更(新作はもともと正しく1/144)した。それぞれ時期は異なるが、同様に日本模型の1/70、エルエスの1/75も1/72表記に変更されている。
- 1/150はまた、日本型Nゲージ鉄道模型に採用されているスケールでもある。世界的にみてNゲージのスケールは1/160が一般的であるが、Nゲージの線路に狭軌の日本型車輛をNゲージサイズで模型化して(特に蒸気機関車の下回りが)不自然にならないようにするため日本では独自のスケール1/150を用いる(ただし新幹線車輛は例外として1/160スケールである。)。このような事例は零番ゲージ(Oゲージ)の日本型蒸気機関車の縮尺規定に始まり、日本型16番ゲージ(日本型HOゲージ)鉄道模型も新幹線を除き1/87スケールではなく1/80スケールを採用している。近年になり鉄道模型の情景用にも使えるように自動車模型などにも1/150スケールや1/80スケールを採用する製品も現れている。
- 1/200、1/350、1/700
- 主に水上艦(船・艇)、船舶のスケールでその付属として希に陸戦兵器や航空機が存在する。特に1/700はWL(ウォーターラインシリーズ。喫水線下を省略した模型)規格として、静岡のメーカー4社の共同企画として発展。欧米では1/720が標準であったが、後に中国などのメーカーも1/350や1/700に参入、事実上の新たな国際標準となったもの。
[編集] プラモデルにおけるスケールモデル
プラモデルにおけるスケールモデルは正確な縮尺、というイメージで捉えられがちだが、実際のものをそのまま小さくしてもそのとおりに見えないことが多い。これは車や列車、航空機など人間よりもはるかに大きいものを視認する際に手前が大きく奥が小さく見える遠近法の原理で歪んで見えているためである。そのため各メーカーは縮小の際にある程度のディフォルメを行なう。商品としては正確に縮小されていても実物と似ていなければ失敗作となってしまうからである。例を挙げるとフジミ模型製の乗用車の車両側面がそれである。縮尺は比較的正しいが胴長に見える。また、長谷川製作所製の隼にも同じことがいえ、縮小比率的には正しいが、日本模型製のボディーラインの方が実機のイメージを捉えているといわれている。また縮小する過程において小さくなり過ぎて再現が困難な部品や金型の都合で形状の変わる部品などが発生することも珍しくはない。そのためスケールモデルも実在のものを通じて個人の持つイメージを投影させる模型なのではないか、という意見もある。そのため実物の存在していない航空機や戦車などのスケールモデルも存在している。
[編集] プラモデルにおけるスケール論
模型にふさわしいスケール、に関しては論議になることが多い。あまりに小さいスケールでは縮尺そのものの意味が失われるのではないかという指摘もある。例えば1/144で言えば1メートルはおよそ7mmとしかならない(製品素材の収縮や劣化により2~3mm違っただけで30cm以上の差が生じることなる)。が、現在主流のスケールももともと模型の出来映えやコレクション性に基づいて生まれたものではなく、設計の容易さ、設備の性能などから生み出された規格である。また、製作対象によっても左右される。自動車模型ではワイパーやメーターなどの再現のために1/24や1/16などの大きめのスケールが好まれるが、ミリタリーモデルの主流である戦車をそのスケールで作るとなるととんでもない大きさの高額商品となってしまう。また鉄道模型においても走行させて楽しむため、住宅事情等に合わせてさまざまな規格があり、一概に結論は出ない。
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